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【ヴァイオリンの構造と音色の特徴とは?】楽器の歴史と魅力も解説

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【ヴァイオリンの構造と音色の特徴とは?】楽器の歴史と魅力も解説

ヴァイオリンはクラシック音楽の代名詞ともいえる楽器です。ソロから伴奏までそつなくこなし、美しく華やかな音色に魅了される人は多いですね。

今回はそんなヴァイオリンの魅力に迫り、楽器の歴史や特徴について詳しく解説します。

これからヴァイオリンの演奏を聴くときに、きっと今までとはちがう視点で音楽を楽しめますよ。

ヴァイオリンの概要と歴史

オーケストラの顔ともいえるヴァイオリン。曲中では主要なメロディを演奏することが多く、なくてはならない中心的な役割を担っています。

ヴァイオリンは「擦弦(さつげん)楽器」の一種です。擦弦楽器とは、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、日本の胡弓、モンゴルの馬頭琴などのように、弓で弦をこすって音を鳴らす楽器のことをいいます。

ヴァイオリンは擦弦楽器の中で一番サイズが小さく、あごと肩で楽器を挟み、左手で弦を押さえて右手で弓を動かして演奏します。

ヴァイオリンの先祖はアラビアのラバーブという楽器や、15世紀のスペインとフランスで広く使われたレベックという楽器といわれています。

中国の二胡や馬頭琴もラバーブから発展した楽器なので、ヴァイオリンの親戚といえますね。

ヴァイオリンが初めて登場したのは1550年頃。その頃から現在まで、ヴァイオリンの構造や形はほぼ変わっていません。

長い年月が経ってもほとんど改良されていないので、はじめから完全なかたちで誕生した楽器だといわれています。

初期のヴァイオリン製作者で有名なのは、イタリア出身のアンドレア・アマティです。アマティ家は次世代にわたってヴァイオリン製作を続けました。

のちの楽器製作者にも影響を与え、17~18世紀になるとストラディバリやグァルネリなどの有名な製作者も登場し、多くのヴァイオリンが生み出されました。

ヴァイオリンはもともと民衆の楽器でダンスや歌の伴奏で使われていましたが、優雅で人を魅了する音色が認められ、宮廷のオーケストラで使用される重要な楽器となりました。今でも上品な楽器という認識が広まっていますね。

クラシックの場面で大活躍のヴァイオリンはアイルランドやアメリカなどでは民族音楽のシーンでも使われていて、「フィドル」と呼ばれることがあります。

ヴァイオリンとフィドルは同じ楽器ですが、クラシック曲ではヴァイオリン、それ以外のジャンルで使われるときはフィドルと呼ばれて人々に親しまれています。

フィドルとして演奏するときは「ノリ」や「演奏者の個性」が求められるので、クラシック曲のときとはちがったヴァイオリンの演奏が聴けておもしろいです。

ヴァイオリンがフィドルとしてほかの民族楽器と一緒に演奏されている動画をご紹介します。軽快なリズムで聴いていて楽しくなりますね。

引用:アイリッシュ音楽・ケルト音楽|Patrick’s(パトリックス) 

ヴァイオリンの特徴

ヴァイオリンの構造

ヴァイオリンの重さは約500gと軽く、全長は約60cm、胴部の長さはおよそ35cmです。

ひょうたんのような形をした木箱に4本の弦が張られていて、同じ弦楽器のギターに構造がよく似ています。

弓で弦を弾くことで弦が振動し、その振動がヴァイオリン内部の空洞に共鳴して豊かで華やかな音が出ます。ヴァイオリンの動体はスピーカーのような役割を果たしているんですね。

内部で共鳴した音は「f字孔(エフじこう)」と呼ばれる穴から外に放たれ、私たちの耳に届きます。弦楽器の仲間のヴィオラ、チェロ、コントラバスも、音が出る仕組みは全く同じです。

ヴァイオリンの4本の弦はそれぞれG(第4弦)、D(第3弦)、A(第2弦)、E(第1弦)の音程にチューニングされています。

それぞれ弦の太さが異なるため、低い音から高い音まで広い音域が出せます。

弓を弦に当てる圧力を調整することで音の強弱をつけることができ、弦にかかる圧力が強いほど大きな音を出すことが可能です。

弓には馬のしっぽの毛を脱色したものが使われていて、演奏時には松脂を塗ってしっかりと弦をこすれるようにしています。 

馬のしっぽの毛には目に見えない小さな起伏があり、弦と弓の摩擦効果を高めてヴァイオリン特有の音色を生み出しています。

主にモンゴル、イタリア、カナダ、シベリアなどの馬毛が使われていて、弓1本はおそよ150〜200本の毛で作られています。

ヴァイオリンの塗装にはニスが用いられ、ヴァイオリンを保護してきれいな艶感を出すだけでなく、美しい響きを生み出す役割もあります。

「ニスがその楽器の音を決定する」といわれるほど音色に与える影響は大きく、低音から高音までを心地よく響かせる重要な役割を果たしています。

ギターと構造は似ていますが、指やピックを使って弦をはじいて演奏するギターは「撥弦(はつげん)楽器」に分類されます。ヴァイオリンも指で弦をはじいて演奏する「ピチカート奏法」がありますが、あくまでメインは弓での演奏なので擦弦楽器になります。

ヴァイオリンの音色

弦楽器の中でもヴァイオリンはもっとも明るく華やかな音色を奏でます。

人間の声にとても近いといわれ、人の耳になじみやすく、長時間聴いても飽きない音色です。

単純な構造の小さな楽器ですが、音の表現力は無限大。演奏者の感情を自在に表現して、聴く人を魅了します。

まず音の強弱がつけやすく、力強い音や繊細な音まで幅広く演奏できます。

音域も4オクターブもありとても広く、ながく音を続けることができて、美しいビブラートを自由自在にかけることも可能です。

ギターにあるようなフレットがヴァイオリンにはないので、音階や音程にしばられることなくビブラートがかけ放題なのです。

とくに得意なのは音程の跳躍。4つの弦を使って演奏するので、弦を変えるだけで簡単に低い音から高い音へ移ることができます。

このように表現が自在な楽器なので、歌うような叙情的なメロディも、細かい速い動きのフレーズも、リズムを刻むのでもなんでもこなせるのがヴァイオリンのすごいところ。作曲家によってヴァイオリンの役割がちがうのもおもしろいです。

ヴァイオリンの魅力

ヴァイオリンは子どもから大人まで広い世代に愛されている楽器です。

メロディを担当することが多いので、ソロ、アンサンブル、オーケストラなどあらゆる場面で活躍しています。

ヴァイオリンを練習することで脳全体が活性化されて、記憶力や集中力、精神力も鍛えられるといわれています。

演奏するときは「楽譜を見る」「指を動かす」「出ている音が正しいかを聴く」というように、脳に多くの刺激を与えているためです。練習を重ねて上達していくと、自己成長も感じられますね。

ヴァイオリンの興味深い点は、高品質なヴァイオリンは年月が経って弾きこんでいると価値や性能が上がるということ。

一般的には年月が経てば劣化していき価値が下がるものですが、ヴァイオリンは新品のものよりも弾きこんだものの方が音が響きやすくなる傾向があります。

ニスがしみ込んで弾力性が上がり、優れた共鳴体として楽器自体が変化していくからといわれています。

高価なヴァイオリンのストラディバリウスは、ヴァイオリンを弾かない方でも名前を聞いたことがあるかもしれませんね。

数百年前に作られたものでも価値が高いのは、丁寧に正しい取り扱いをしてきて保存状態がよく、経年によって音色に深みが出てきているためです。

ほかにも、演奏をする姿が美しいこともヴァイオリンの魅力です。

演奏者はヴァイオリンを自身の身体に近づけて全身で演奏しますが、その姿は優雅で美しいですね。

ただし演奏者にとっては大変な肉体労働で、日常生活ではとることのない姿勢であり、不自然な身体の使い方をしているそうです。

マッサージや整体に通う方もいるので、表には決して出ない演奏者の苦労がうかがえます。

最後にヴァイオリンの演奏曲を1曲ご紹介します。ヴァイオリンの優雅で華やかな音色が楽しめますよ。

引用:クライスラー 愛の喜び|髙木凜々子

まとめ

ヴァイオリンが登場してから現在まで、ほとんど改良がされていないことに驚きました。

前回の記事ではピアノは誕生してから改良を重ねられてきたことを書いたので、ピアノとは対照的ですね。

ヴァイオリンはシンプルな構造でできていますがうまく弾くことはむずかしく、上達するためにはかなりの練習が必要です。

フレットがないので、弦を押さえる位置を覚えたり、正しい音を聴き分ける耳を鍛えるのが特にむずかしい印象を持ちました。

ヴァイオリンの音色ももちろん美しいですが全身で楽器を演奏する姿も魅力的なので、機会があればぜひ生でヴァイオリンの演奏を聴いてみてください。

【この記事を書いた人】

オーケストラ好きライター さち

「愛知県在住のWebライター。学生時代は吹奏楽部に所属し、7年間ホルンを演奏していました。現在、双子を育児中です。 心が洗われて優雅な気持ちになる、オーケストラの音楽の魅力を伝えたいです。」

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