「ピアノの調律にはどれくらいの値段がかかるの?」
「調律は必ずしなければいけないの?」
ご自宅にピアノがある方は、このような疑問をもったことはありませんか?
専門的な技術をもつピアノ調律師がピアノの音階を正しく調整し、演奏者の希望どおりの音色を作り出す調律。ピアノを演奏される方は調律について関心がありますよね。
今回は、ピアノの調律にはどれくらいの値段がかかるのか、なぜ調律が必要なのかを解説します。大切なピアノを長持ちさせるためのポイントもお伝えするのでぜひ参考にしてください。
ピアノの調律にかかる値段
調律の値段の相場は、一般家庭のグランドピアノの場合15,000円〜20,000円前後、アップライトピアノの場合12,000円〜15,000円前後です。ただしこの料金は前回の調律から1年以内の場合の目安です。
実際に調律師が行う作業内容によって値段が高くなることもあるので気をつけてください。
料金が高くなる具体例をお伝えします。
- 調律を長年していなかったなどの理由により、調律に時間がかかって割増料金が発生するとき
- ピアノの部品が劣化したことによって部品交換が必要なとき
- ピアノ内部の清掃など、調律以外のメンテナンスが必要なとき
- 遠方から調律師を依頼する場合の出張費用
部品交換には専門的な技術が求められるので、部品代だけでなく技術料もかかり、通常よりも高い料金になります。
何年も調律をしていなかったときや不具合があらかじめわかっているときは、その状況を調律師に事前に伝えて見積もりを取っておくと安心です。
調律師はピアノメーカーや楽器販売店に所属している方と、独立されて調律師として個人で活動している方がいます。調律の料金を重要視する場合は、いくつかの業者に問い合わせて見積もりを取り、値段を比較してみてください。
ピアノの調律が必要な理由
ピアノの調律とは、ピアノの88鍵すべてが正しい音が出るようにチューニングする作業のことです。ピアノの弦の張力を、正しい音程が出る状態に調整していきます。
弦の調整で正しい音程を出す「調律」のほかに、鍵盤の弾き心地を調整する「整調」、理想どおりの音色を作り出す「整音」、さらにピアノの清掃や修理も含めた作業を調律師が行います。
ピアノを演奏する頻度や設置環境にもよりますが、どうしても時間の経過とともに音が下がったり音色が変化してきます。美しい音色で快適に演奏するために、調律師にきちんとメンテナンスをしてもらうことが大切です。
定期的な調律をすることで得られるメリットを3つお伝えします。
ピアノが長持ちする
きちんと定期的に調律することが、ピアノを長持ちさせることにつながります。
ピアノはとても繊細でデリケートな楽器です。定期的にメンテナンスしていない状態で弾きつづけると、ピアノ本体の劣化を早めることになります。
人間の健康診断と同じように、ピアノの調子がわるいところがあれば早めに見つけて対処することで、ピアノをより長い間使用できます。調律師にしっかりとメンテナンスをしてもらってピアノを長く大切にしていきたいですね。
修理にかかる費用を抑えられる
定期的に調律をすることで、大規模なピアノ修理を未然に防ぐことができます。
もし修理が必要になった場合、正常な状態に戻すためには調律の範囲を超えた時間やコストがかかってしまいます。大がかりな修理になるのを防いで、ピアノの維持費としてのトータルコストを抑えられます。
ピアノの上達につながる
正しい音程のピアノを弾くことで、確かな音感が育まれます。
特に小さいお子さんが弾くときは、きちんと調律されていないピアノを弾くと間違った音感が身に付く恐れもあるので注意が必要です。
ピアノは温度や湿度の変化に弱く、音が狂いやすいです。長い間調律をしないでいると正しい音階を出せなくなり、楽器の性能を最大限発揮できません。
音の美しさが失われたピアノでは、演奏者の表現力も制限されてしまいます。
ピアノ上達のためにも、弾き心地のいい美しい響きのピアノを演奏したいですね。
最適な調律頻度
一般的な家庭のピアノでは、少なくても1年に1回は調律することが推奨されています。
買ったばかりの新品のピアノの場合は弦の張力の変化が大きいため、落ち着くまでの1〜2年は年に数回調律するのが望ましいです。
ピアノの使用時間や、置いてある部屋の環境などによって最適な調律頻度が変わってきます。季節による気温や湿度の変化が大きい部屋にピアノがある場合、時期によって弦の張り具合が変化してしまいます。
梅雨明け直後や、冷暖房の使用をやめる頃など、季節の変わり目に調律することをおすすめします。実際に調律の作業をしてもらったときに、自分のピアノに合った調律スケジュールを相談してみてください。
放置しておくことによる悪影響
ピアノはとても繊細な楽器で温度や湿度の変化に弱く、ピアノ内部は影響を受けやすいです。定期的な調律をせずに放置していた場合、内部の見えないところにカビが生えたり、弦の拡張や萎縮によって音が狂ってしまいます。弦の張り具合の変化を調律で正しく整えていく必要があります。
ピアノ1台には約230本もの弦が張られていて、総張力は約20トンといわれています。長い間メンテナンスしないでいると張力のバランスが崩れ、故障の恐れもあります。
調律師に定期的に点検してもらうことで、小さな不具合を早く発見できます。もしもわずかな傷があった場合、それを放置しておくと他の箇所にわるい影響を与えてしまったり、破損につながることもあるので気をつけましょう。
長年点検していないピアノを調律しようとすると、正常な状態にするためにより多くの時間と費用がかかってしまいます。大がかりな修理が必要になれば高額な修理費用がかかったり、ピアノ自体を買い替える必要に迫られる可能性もあります。
また、微妙な音のズレや不安定な鍵盤に慣れてしまうと、知らず知らずのうちに演奏に変なクセがついてしまいます。演奏者のパフォーマンスに正しく応えてくれるピアノで練習することが上達する第一歩。きちんと調律された最適な状態のピアノで練習することは必須です。
ピアノを長持ちさせる3つの方法
適正な温度と湿度を保つ
適正な温度の目安は15℃〜25℃、湿度は夏は40%〜70%、冬は35%〜65%です。
ピアノの置いてある部屋の温度と湿度を一定に保つことがピアノを長持ちさせることにつながります。
ピアノの木材は温度と湿度の変化にとても敏感です。急激な温度変化は木製部分のひび割れや変形を招きます。湿度は高すぎると膨張し、低すぎると乾燥して、故障の原因になることがあります。温度と湿度を管理してピアノにとっていい環境を整えましょう。
定期的に部屋全体の空気を循環させることも大切です。直接ピアノに風が当たらないように気をつけて、窓を開けたり換気扇を使用して換気をするようにしてください。
適切な場所にピアノを設置する
ピアノを置く場所にも気をつける必要があります。設置場所によってピアノの音質に影響がでたり、寿命が短くなる場合があります。
避けるべき設置場所は、直射日光があたるところ、冷暖房が直接あたるところ、外気の湿気の影響を受けやすい窓の近くです。
そういった場所は避け、温度と湿度を管理できる部屋に置くことでピアノのいいコンディションを保てます。
ピアノを設置する前に専門業者に相談するのもおすすめです。ピアノの性能が最大限発揮できる場所に置きましょう。
放置しすぎず、定期的にピアノを弾く
ピアノを弾かない期間が長くなればなるほど劣化が進んでしまいます。鍵盤の動きがわるくなったり汚れがたまったりするなど悪い影響を及ぼします。
少なくても週に1回はピアノを弾くようにして、ピアノがスムーズに動くようにしておくことが大切です。
放置したままの状態が長く続くと、調律だけでは対処できずに大がかりな修理になってしまうこともあります。
追加で費用がかかってしまわないように定期的に演奏することで、大切なピアノを長持ちさせたいですね。
まとめ
ピアノをながく大切に使えるように、定期的な調律は必要です。
ピアノの上達を目指している方にとっても、ベストな状態のピアノを演奏することで耳も鍛えられ、演奏に変なクセがつくこともなく安心して練習に励めます。
年間を通して温度と湿度を一定に保つことに気をつけて、大きな不具合が出るのを防ぐことが重要です。
長持ちさせる方法を意識しながら、調律も忘れずにおこなうようにしてください。
【この記事を書いた人】
オーケストラ好きライター さち
「愛知県在住のWebライター。学生時代は吹奏楽部に所属し、7年間ホルンを演奏していました。現在、双子を育児中です。 心が洗われて優雅な気持ちになる、オーケストラの音楽の魅力を伝えたいです。」
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